ドクターインタビュー

最後の医師として、すべての整形外科疾患に対応する
最後の医師として、すべての整形外科疾患に対応する

副院長 / 整形外科 岩堀 智之

Chapter 01 医師を志し、整形外科医となる

神奈川県茅ヶ崎市で生まれ育ち、学生時代は部活動や学校行事に積極的に取り組みながら、活発な日々を送っていました。当時はまだ、将来の進路について明確な目標が定まっていたわけではありません。そんな中、高校3年生の夏にあるきっかけを機に、医学部を志しました。

帝京大学医学部に進学してからは、手術への関心が高まり、自然と外科系の分野に興味を持つようになりました。もともとは救命救急の現場で活躍する医師を志していましたが、「まずは専門分野を持ち、その上で救急に携わる方がよい」という先輩医師の助言を受け、将来を見据えた選択が必要だと考えるように。

外科系分野の中でも比較的早い段階から臨床経験を積めることや、手術を通じて直接的に患者さんの機能回復に貢献できる点に魅力を感じ、整形外科を専門に選びました。

Chapter 02 幅広い診療と専門性の両立を目指して

当院に赴任するまで、大学病院から地域の医療機関まで、さまざまな環境で整形外科診療に携わってきました。大学病院では長らく脊椎チームに所属し、高度な専門手術に数多く取り組んできましたが、その一方で、三次救急である高度救命救急センターでの勤務も経験しています。

地域の医療機関では、近隣に専門医が限られた環境の中、整形外科全般に幅広く対応する必要がありました。脊椎、骨折、人工関節、スポーツ・関節機能再建といった各領域の診療に携わる中で、自然と守備範囲が広がっていきました。特に人工関節の手術には約10年前から本格的に取り組み、今日に至るまで継続して経験を重ねております。

こうしたキャリアを経て、幅広い診療と専門性の両立を目指す中、当院とのご縁をいただきました。これまで培ってきた知識や技術を、東京西徳洲会病院というフィールドで活かせることに、大きな意義を感じています。

また、救急患者の受け入れにも積極的に取り組んでいる点も、救急医療への思いを持つ私にとって大きな魅力でした。専門性を活かしながら多様なニーズに応えられる当院は、自身の理想とする医療を実践できる環境だと考えています。

Chapter 03 術式ごとの特性を活かす、柔軟な脊椎診療

現在、当科では「脊椎・脊髄」「人工関節」「スポーツ・関節機能再建」「骨折」の4部門に特に力を入れております。その中でも、私がこれまで診療の中心としてきたのが脊椎疾患の領域であり、とりわけ「脊椎内視鏡手術」を得意としております。

内視鏡による手術は、筋肉や皮膚の切開を最小限に抑えることができ、術後の回復が早いのが特徴です。患者さんにとっても、術後早期に退院可能なケースが多く、身体的・社会的負担の軽減につながります。

とはいえ、すべての症例が内視鏡手術に適しているわけではありません。脊椎は首から腰まで細かい構造が連続しており、複数の部位にわたって処置が必要なケースでは、従来の切開手術の方が良い場合もあります。

そのため当科では、患者さんの状態やニーズに応じて最適な術式を柔軟に選択するという姿勢を大切にしています。術式ごとの特性をしっかり見極めながら、患者さんにとってより低侵襲で、確実な治療を提供できるよう心がけています。

Chapter 04 1mm・1度単位の精度を追求する
人工関節手術

人工関節手術では、より精度の高い手術を目指し、ナビゲーションシステムを導入しています。これは、術中に患者さんの骨の情報をコンピューターに取り込み、人工関節を1mm・1度単位で正確に挿入するための支援ツールです。骨の切除や調整は医師自身の手で行いますが、このシステムを活用することで、高い精度と再現性を両立した手術が可能となります。

私は、ナビゲーションを「支援ツール」として活用し、最終的には医師の技術でしっかりと対応できる力を養うことを大切にしています。経験を積み、万一ナビゲーションが使えない場面でも、精度の高い手術ができる医師を育てていきたい——そのような考えで日々の診療に取り組んでいます。

Chapter 05 関節鏡×超音波で早期復帰を目指す診療

スポーツや関節機能再建の分野においては、いかに早期に機能を回復し、社会復帰・競技復帰につなげるかが重要となります。当科では、その実現を目指し、関節鏡手術と超音波診断を組み合わせた低侵襲な診療を推進しています。

関節鏡手術は、関節内部を直接カメラで確認しながら、最小限の切開で損傷部位を処置できる手術法です。そこに超音波診断を組み合わせることで、よりリアルタイムで的確な判断が可能となり、診断から治療までの精度をさらに高めることができます。

かつては整形外科領域における超音波の活用は一般的ではありませんでしたが、現在ではその有用性が広く認識されつつあり、当科でも積極的に導入しています。とくにスポーツ外傷や関節障害では、患者さんの年齢や競技レベル、回復目標に応じて最適な治療法を選択する必要があり、診断精度と低侵襲性の両立が求められる領域です。

今後も新たな技術を積極的に取り入れながら、患者さん一人ひとりのライフスタイルやニーズに応じた治療方針を提案し、機能回復の最大化を目指してまいります。

Chapter 06 骨折治療を軸に据えた、総合的な外傷診療

整形外科医としての私のキャリアは、外傷診療からスタートしました。帝京大学は外傷治療に力を入れている、日本有数の大学病院のひとつであり、私自身もその環境の中で数多くの外傷症例を経験しながら研鑽を積んできました。現在も、帝京大学の外傷チームと密に連携を取り、常に最新の知見をアップデートすることを心がけています。

骨折は、転倒や事故によって突然生じる急性疾患であると同時に、高齢者にとってはその後の生活を大きく左右する重大な転機にもなり得ます。特に高齢化が進む現代では、わずかな転倒が複数の骨折や脊髄損傷を引き起こすケースも増えており、より高度な判断と治療技術が求められています。

当院では、救急患者の受け入れを24時間体制で行っており、急性期の対応に加えて、計画的な骨折治療や術後の機能回復支援にも力を入れています。手術のタイミングや術式の選択においては、年齢や全身状態、生活背景をふまえた柔軟な判断が不可欠です。またリハビリテーション科と密に連携し、必要に応じて救急科、内科などと協力し、総合的な視点から治療方針を組み立てています。

私自身、救急の現場での迅速な対応にやりがいを感じる一方で、急性期から慢性期まで一貫して関わることの大切さを強く実感してきました。単に骨を治すだけではなく、その先の生活や社会復帰まで見据えた支援を行うことが、骨折治療を担う整形外科医の役割だと考えています。

Chapter 07 すべてを受け止める整形外科であるために

診療において私が常に意識しているのは、「自分が最後の医者だと思って患者さんと向き合う」という姿勢です。これは、若い頃に尊敬する上司から教わった言葉で、今でも私の中で大切にしている考え方です。

専門外だから、あるいは治療が大変だからといって安易に他院へ紹介するのではなく、まずは自分自身で真剣に向き合い、できる限りの治療を提供する。それが医師としての責任であり、患者さんの安心にもつながると感じています。

この考えは、現在の整形外科診療にも通じています。当科では「整形外科疾患はすべて対応する」という方針を掲げ、どんな症例であっても受け入れ、責任を持って診療にあたるという姿勢を大切にしています。

Chapter 08 医師と患者の距離が、医療の質を変える

私自身、整形外科医でありながら、患者として手術を受けた経験があります。その体験を通じて実感したのは、「医師と患者との距離感」が、治療の質にも大きく関わるということでした。診察時の言葉や目線の高さ、どれだけ親身に話を聞いてもらえるかといったことが、患者さんの安心感につながるのだと、身をもって理解しました。

近年、医療のデジタル化が進むなかで、どうしてもカルテや画像に向き合う時間が増え、患者さんと直接向き合う機会が減ってきています。もちろん、正確な情報の把握は診療のためには必要なことですが、それと同様に、患者さんを直接診る姿勢を忘れてはならないと感じています。

だからこそ私は、病室を回り、患者さんの顔を見て、声を聞くことを大切にしています。検査データだけではわからないことが、表情やちょっとした会話の中に隠れていることも少なくありません。そうした小さな積み重ねこそが信頼関係を築き、より良い医療につながると考えています。

Chapter 09 紹介しやすく、戻しやすい連携を

当科では、地域の先生方からご紹介いただく患者さんに対し、できる限りスムーズかつ丁寧な対応を心がけています。「この症例は紹介した方がよいのだろうか」「手術が必要でないかもしれない」といったご紹介するか判断に迷われることもあるかもしれませんが、どのような症例もどうぞご遠慮なくご相談・ご紹介いただければ幸いです。

また、紹介いただいた患者さんが当院での加療後に引き続き通院が必要な場合は、改めてかかりつけの先生方へお願いをさせていただく形で、しっかりと連携を取らせていただきます。紹介いただくこと、戻っていただくこと、その両方を円滑に進めていくことが、地域全体の医療の質向上につながると信じています。

これからも地域の医療機関の皆さまと力を合わせながら、この地域の整形外科医療を支えていければと考えています。どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします。

副院長/整形外科部長 岩堀 智之

専門分野
  • 整形外科
経歴
  • 2001年 帝京大学医学部 卒業
  • 2003年 佐倉中央総合病院 整形外科
  • 2004年 セコメディック病院 整形外科
  • 2006年 帝京大学医学部附属病院 整形外科 助手
  • 2007年 帝京大学医学部附属病院 救命救急センター
  • 2008年 帝京大学医学部附属病院 整形外科 助手
  • 2009年 岩井整形外科内科病院 整形外科
  • 2013年 帝京大学医学部附属病院 整形外科 助手
  • 2014年 嶋崎病院 整形外科
  • 2020年 嶋崎病院 人工関節・関節機能再建センター長
  • 2021年 嶋崎病院 副院長 兼 人工関節・関節機能再建センター長
  • 2025年 東京西徳洲会病院 整形外科 部長
資格・専門医
  • 日本整形外科学会認定 整形外科専門医
  • 日本整形外科学会認定 リハビリテーション医
  • 日本整形外科学会認定 リウマチ医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医
  • 日本脊椎脊髄病学会 認定指導医
  • 日本整形外科学会認定 脊椎内視鏡下手術技術認定医
  • 厚生労働省認定 臨床研修指導医
  • ICD 制度協議会認定 感染制御医
  • 日本人工関節学会 認定医

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