乳腺腫瘍センター(乳腺腫瘍科)
 
									診療概要
センターの特色
当センターでは、乳がんをはじめとする乳腺疾患に対し、診断から手術、化学療法、放射線治療に至るまで、一貫した診療体制のもとで治療を行っています。
乳がん検診の二次精査やセカンドオピニオンのご相談にも対応しており、患者様の状況に応じた最適な医療を提供できるよう努めています。
※なお、症状のない方を対象とした一次検診は当科では実施しておりません。
主な診療内容
乳房温存手術と部分照射
乳がん手術では、これまで乳房全体の切除が主流とされてきましたが、現在は乳房の一部のみを切除し、残存乳房に放射線を照射する乳房温存療法が広く行われるようになっています。この方法でも従来の全摘術と同等の治療効果が得られることが示されており、当センターでも積極的に導入しています。腫瘍の性質によっては、術前化学療法を併用し、より確実な温存を目指す場合もあります。
小線源による放射線治療
また、温存術後に行われる放射線治療においては、術中にアプリケーターを乳房内に留置し、小線源を用いて照射を行う乳房部分照射(IOCI法)を導入しています。これは、術後わずか4〜5日間の照射で治療を完了できる方法であり、通常5〜6週間の通院照射が必要な全乳房照射に代わる新たな選択肢として注目されています。すでに北米放射線腫瘍学会(ASTRO)では臨床応用への指針が示されており、当院でも院内倫理委員会の承認のもと積極的に取り入れています。
この取り組みにより、初回手術の入院期間中に放射線治療まで完了させることが可能となり、患者様の身体的・時間的負担を大幅に軽減できる点が大きな特徴です。
 
					 
					 
					センチネルリンパ節生検の導入
腋窩リンパ節の郭清(切除)は、従来、乳がん手術において標準的な処置とされてきましたが、リンパ節に転移のない患者様にとっては不要な処置となる場合もあり、腕のむくみなどの後遺症が課題とされてきました。

当センターでは、リンパの流れの最初の経路にあるセンチネルリンパ節を手術中に摘出・診断し、転移が認められなければ腋窩郭清を省略する「センチネルリンパ節生検」を実施しています。この方法は2010年4月に保険収載され、現在では標準治療として位置づけられています。私たちのチームはこの技術を国内で初めて報告し、普及に努めてきた実績があります。
個別化された最新治療
乳がんは「全身病」であるという特性から、局所療法だけでなく全身治療も重要です。当センターでは、分子標的薬をはじめとする新しい治療薬の導入や、従来の抗がん剤の効果を高める治療法の導入にも力を入れており、患者様一人ひとりに最適な治療を提供できるよう努めています。
また、Oxford Overviewでも示されたように、不十分な局所療法は再発や生存率の低下につながる可能性があるため、当センターでは治療の質と安全性の両立を図りながら、常に最適な治療法を選択しています。
設備紹介
放射線医学センター
 
						 
						 
						当院では放射線医学センターを有し、綿密な協力体制にて診療を行っております。
診断支援機能を有するマンモグラフィー、乳房超音波、乳房MRI、PET/CTといった診断機器から放射線治療装置まで、最新の設備を備えています。
当放射線医学センターの特徴のひとつとして、「放射線治療」があります。
多くの他施設で使用している放射線照射装置「リニアック」では、周囲の正常な組織への副作用が多く発生することが課題になっています。
しかし、当院の最新リニアックは、照射位置を病巣のみにターゲットを絞ることができる、3Dリニアックを導入しており、放射線治療専門医が常駐しております。この3Dリニアックでは、多方向からの照射を行ない、その重複する位置(病巣)に放射線が集中する画期的な装置で、誤差は約2mmとも言われています。
化学療法センター
 
						 
						 
						抗癌剤点滴のための専門治療センターです。
乳癌の化学療法はほとんどが外来通院にて行うことが可能です。
安心して外来化学療法を受けていただくために、専任看護師・薬剤師による説明を行っています。
また、抗癌剤はすべて薬剤師により無菌調剤されており、安全管理に最大の注意をはらっています。
手術室
 
					 
					熟練スタッフと、最新の手術室にて安全な手術を行います。
病室
 
						 
						ほとんどの治療は外来で行うことが可能ですが、手術時等、入院が必要な際は快適な病室でお過ごしいただけます。
