当院に導入されているMRI装置

GE製 SIGNA Pioneer 3.0テスラ

東京西徳洲会病院では2020年2月に3.0T MRI装置「SIGNA Pioneer 3.0T」(GEヘルスケアジャパン)、2020年3月に1.5T MRI装置「SIGNA Explorer Newgrade」(GEヘルスケアジャパン)の2機種が導入されました。

3.0T MRI装置については従来の装置と比べ、

  • 検査時間の短縮
  • 快適性の向上(70cmワイドボア、幅56cmワイドテーブル)
  • “音のしない”スキャン(SILENT SCAN:検査環境音+3dB以下)

が可能となり、「患者様に優しい」MRI検査を提供できるようになりました。

また、3.0T MRI装置の特徴である高精細な画像取得に加え、豊富なアプリケーションが搭載され、画像診断能も大幅に向上しました。

全身MRIスクリーニング検査(DWIBS:ドゥイブス)

当院のMRI装置で「全身MRIスクリーニング検査(以下、DWIBS)」が可能です。

DWIBSは従来から脳梗塞のMRI診断で用いられている「拡散強調画像(DWI)」を全身の撮像に応用した検査です。
拡散強調画像(DWI)は体内の水分子の拡散状態を反映します。

正常な細胞の多くは比較的細胞間の水分子の拡散制限が少ないのに対し、悪性腫瘍、炎症、膿瘍、細胞性浮腫などは水分子の拡散が制限され、画像上、濃淡の違いが生じます。病変の検出力が高いことが本検査の大きな特徴です。

その他の特徴として

  • 薬剤投与なし
  • 放射線被ばくなし

であり、検査を受ける方の負担も少ないです。

現在では本検査の有用性が認められ、厚生労働省の2020年度診療報酬改定において「全身MRI加算」が新設されました。

DWIBSとPET/CT

DWIBSは細胞間の「水の拡散状態」、PET/CTは細胞の「エネルギー(ブドウ糖)代謝」を反映している特徴の違いがありますが、類似した画像が得られます。

DWIBSとPET/CTの特徴の違いは下記の通りです。

  DWIBS PET/CT
対象患者
(保険適応)
  1. 原発巣の検索可
  2. 再発や転移の検索可
  3. 治療効果判定時期
    治療後1週間より)
  4. 膿瘍などの病変を検出
  1. 原発巣の検索不可
  2. 再発や転移の検索可
  3. 治療効果判定
    (悪性リンパ腫のみ可能)
測定原理 水素原子(プロトン)の拡散制限を検出 組織のブドウ糖代謝の違いを反映
被ばく なし 検査薬(FDG)とCTの両方で被ばくあり
注射 なし 検査薬(FDG)の注射あり
検査前処置 なし(食事制限もなし) 前日から絶食、インスリンの制限
検査後処置 なし 検査終了後、しばらく管理区域で待機
検査時間 40~50分 30分~40分
(注射時からだと3時間)
保険点数 1,600点
(3.0T 装置での検査)
8,625点
当日検査依頼 不可
(検査薬の準備や前処置のため、翌日以降)
発見しにくい疾患 脾臓、精巣
(正常でも高信号になる)
脳、腎臓、尿管、膀胱
(検査薬の排泄経路にある腫瘍は診断が困難)
注意事項
  • 検査中の安静ができない場合(痛みや認知症など)
  • 体内植え込み型の金属やデバイスがある患者
  • 糖尿病患者や低血糖患者
  • 妊婦や小児
    (被ばくの影響を考慮)

DWIBSが有用であった症例(当院症例)

症例1:左乳癌術後経過観察(60代女性)

PET/CTではFDGの生理的集積のある膀胱も描出されている。
DWIBSでは正常な膀胱は描出されず、膀胱内や膀胱周囲の病変検出が可能。

DWIBS 1枚目
PET/CT(DWIBSの6日前実施)1枚目
DWIBS 2枚目
PET/CT(DWIBSの6日前実施)2枚目

症例2:左腸腰筋膿瘍(70代男性)

単純CT及び単純MRIを実施しているが、病変を検出できなかった。
DWIBSで「腸腰筋膿瘍」を検出することができた症例。

DWIBS
腰椎MRI(DWIBSの3日前実施)
胸部~骨盤単純CT(DWIBSの5日前実施)