泌尿器科
 
									専門治療
腹腔鏡下手術
1987年にフランスのMouretによって行われた腹腔鏡下胆嚢摘除術を契機にして、腹腔鏡下手術は優れた新しい手術方法として世界的に認識されました。泌尿器科領域では1991年にClaymanらが腎摘除術を発表し、翌年副腎摘除術にも応用されました。
腹腔鏡下手術は、直径が5~12mmのトロッカーという器械(図)を皮膚より穿刺し腹腔内に挿入し、二酸化炭素を送気し腹腔内を拡張させた後、この操作孔から手術に必要な器械を入れ手術操作をおこなうというものです。

この器械を手術の際に3から5個挿入して手術を行います。写真は直径12mmのものです。
腹腔鏡下手術の利点
- 創部:皮膚切開が小さく筋肉切開も避けられるので筋萎縮を防ぐこともできます。美容上も3~6ケ所のトロッカー孔のみで術後創が目立たないなどのメリットがあります。
- 十分な術野が得られる:腹腔鏡では、小さい皮膚切開線にもかかわらず術野が制限されることなく臓器を術野の中心にとらえることができます。
- 摘除した臓器はそのままもしくは最小限の皮膚切開で取り出せるので、術後疼痛が少なく、回復も早いです。
腹腔鏡下手術の皮膚切開の違い
腹腔鏡下手術の皮膚切開の違いを腎尿管摘除術の例で示します。
皮膚や筋肉切開が少ない事がおわかり頂けると思います。
ただし、腹腔鏡下手術は万能という訳ではなく、癒着(周辺臓器と引っ付いてしまっている)の場合やそれ以前に開腹腹手術の既往のある方、など選択できないこともあることは御理解下さい。

現在当科で対応している腹腔鏡下手術術式(2015年から)
- 腹腔鏡下腎尿管摘除術
- 腹腔鏡下腎摘出術
- 腹腔鏡下腎嚢胞開窓術
- 腹腔鏡下腎部分切除術
- 腹腔鏡下副腎摘出術
- 腹腔鏡下腎盂形成術
前立腺癌治療
前立腺癌に対する治療は癌のある場所と病期、年齢、今までの病気や一般状態に基づいて治療法を計画します。前立腺癌の治療法として、外科療法、放射線療法、内分泌療法があります。
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(外科療法)
下腹部に6カ所の穴(直径5~12mm)をあけ、ロボットアームを使って腹腔鏡下で前立腺を摘出する方法です。ロボット支援手術は術者が3D画像で行うことができ、しかもより繊細に手術を行うことができ、安全かつ短時間で手術ができるようになりました。
腹腔鏡下前立腺摘除術(外科療法)
下腹部に5ヶ所の穴(直径5~12mm)をあけ、手術用の道具を用いて、前立腺を摘出する方法です。
この方法はここ数年前より行われている方法で、特殊な技術と設備を要するため施行可能な施設は限られています。
 
	前立腺全摘除術(外科療法)
下腹部を切開して前立腺を摘出する方法で、主に癌が前立腺にとどまっている場合(限局性癌)に行います。この方法は外科療法の中で従来行われている方法です。
当初問題になっていた術後尿失禁や術中輸血の危険性は最近少なくなってきています。限局性癌に対しては優れた治療法で、摘出した前立腺を調べることにより詳細に前立腺癌の状態を把握することができます。
小線源療法(ブラキセラピー)(放射線療法)
長さ4.5mmの小さな放射性物質を前立腺部に挿入して、持続的に放射線を照射して治療する方法です。主に、前立腺にとどまっている限局性癌に対して行われる治療法です。小線源療法は十分な放射線線量を前立腺に照射し、かつ周囲の直腸や膀胱を極力照射しないように、計画的に放射性物質を挿入しますので、従来の放射線療法より直腸や膀胱への放射線障害が少なくなっています。ただし、癌の状態によっては、治療効果が不十分なこともありますので、担当医とよく相談して下さい。
 
	強度変調放射線療法(IMRT)(放射線療法)
強度変調放射線療法(IMRT)は、コンピュータの助けを借りて前立腺部のみに放射線を集中して照射する放射線療法です。主に、前立腺にとどまっている限局性癌に対して行われる治療法です。
従来の方法では前立腺以外の周囲正常組織にも放射線がかかるため、正常組織への放射線障害を考慮し、前立腺に理想的な放射線線量がなかなか照射できないという問題がありました。
IMRTはハイテク技術の医療面の応用により前立腺部に集中して十分な放射線線量を照射することが可能になっています。
 
					 
					経尿道的⽔蒸気治療
(WAVE治療)
低侵襲外科治療のひとつであり、水蒸気を用いて前立腺肥大症の治療を行います。
手術室で麻酔科医による麻酔の下、Rezumシステムを用いて103℃の水蒸気を9秒間前立腺内に噴霧し組織を壊死させます。

治療時間は10分程度で、従来の治療に比べ短い時間で済みます。手術前の排尿状態にもよりますが、手術後は1週間から数か月ほどの膀胱留置カテーテルが必要となります。

入院期間
当院では2泊3日ないし3泊4日の入院で行っております。
手術適応・時期がありますので、ご相談・ご希望の方は泌尿器科外来を受診ください。
