臨床工学科
 
									高気圧酸素治療室
高気圧酸素治療室のご案内

当院では、専用の高気圧酸素治療装置を用い、年間およそ1,500件の治療を実施しております。
主に、下顎性骨髄炎・急性末梢血管障害・難治性潰瘍を伴う末梢循環障害・ガス壊疽・腸閉塞等の治療を対応しております。
そのほかにも、他院で突発性難聴と診断された方や、放射線治療後にみられる出血性膀胱炎でお困りの方の治療にも対応しております。
外来(通院)での治療も可能ですので、治療をご希望の方や詳しい説明を希望される方は、事前に当院までご連絡ください。
高気圧酸素治療とは
高気圧酸素治療(HBO:Hyperbaric Oxygen Therapy)とは、通常の大気圧よりも高い気圧環境の中で高濃度の酸素を吸入することで、体内に取り込む酸素量を増やし、酸素不足や損傷を受けた組織の回復を促す治療法です。
大気圧下での呼吸に比べ、治療中は10~20倍もの酸素を体内に取り込むことが可能とされており、血流が低下している部位やダメージを受けた組織に酸素をしっかり届けることで、自然治癒力の向上が期待されます。
治療中は患者様に特別な操作などをしていただく必要はありません。
装置の中でリラックスしてお過ごしいただき、テレビをご覧いただいたり、お休みいただくことも可能です。治療中は、装置に備え付けのマイクを通じて、スタッフとの会話も可能ですので、安心して治療を受けていただけます。
治療時間はおおよそ1時間30分程度です。
※症状や治療内容によって異なる場合があります
主な効果
- 体内(血液中)の酸素量を増加させ、生体内の低酸素症を改善します
- 酸素の抗菌作用を利用し、細菌の発育を阻害します
- 抗菌薬の殺菌作用の増強による重症感染症の治療の補助療法としても用いられます
- 生体内にできてしまった気体を圧縮し、再溶解することにより末梢循環の改善をし、組織の浮腫を軽減させる生体内気体の圧縮・溶解効果があります
- 血管収縮による頭蓋組織内圧力を減少、浮腫の抑制大量の酸素を取り込んでいるため、低酸素化をおこすことはほとんどありません
- 通常より血液中に大量の酸素が流れることにより、新しい毛細血管が形成されやすくなり、血流障害となった組織にも酸素を供給しやすくします
治療への適応
高気圧酸素治療はさまざまな疾患に適応されており、健康保険上では以下のように区分されております。治療効果については個人差はありますが、治療を継続することでその効果は維持されます。
治療は通常1日1回です。治療回数は、適応疾患や患者様の症状によって担当医が判断します。少ない治療回数では10回、治療回数が多いときは30回程度になります。
対応疾患
発症後一カ月以内
- 減圧症
- 空気塞栓
治療回数の上限:10回まで
- 急性一酸化炭素中毒、その他のガス中毒(間歇型を含む)
- 重症軟部組織感染症(ガス壊疽、壊死性筋膜炎)、または頭蓋内膿瘍
- 急性末梢血管障害
- 重症の熱傷、または凍傷
- 広汎挫傷、または中等度以上の血管断裂を伴う末梢血管障害
- コンパートメント症候群、または圧挫症候群
 
- 脳梗塞
- 重症の低酸素脳症
治療回数の上限:30回まで
- 下顎性骨髄炎
- 突発性難聴
- 放射線、または抗癌剤治療と併用される悪性腫瘍
- 難治性潰瘍を伴う末梢循環障害
- 皮膚移植
- 骨髄炎、または放射線障害
治療が受けられない方・注意が必要な方
- 以下の薬物を使用中の方(副作用増強の恐れ)
- 【抗癌剤】アドリアマイシン、塩酸ドキソルビシン、シス-ジアミンジクロロ白金 (シスプラチン)
- 【禁酒剤】二酸化テトラエチルチウラム(ジスルフィラム)
- 【抗菌薬】酢酸マフェニド
 
- 気胸や肺気腫、その他慢性の肺疾患を持っている方
- ぜんそく発作のある方
- 妊娠中の方
- 耳抜きができないとき(風邪などで鼻がつまっている、鼻水が出ているとき)
- 中耳炎や蓄膿症、副鼻腔炎など、耳や鼻に病気があるとき
- 閉所恐怖症など狭いところが苦手な方
- ペースメーカー使用中の方
- 下痢などでおなかの具合が悪いとき
お問い合わせ
病院代表電話番号にお電話いただき、「高気圧酸素治療について」とお伝えください。
 042‑500‑4433
					042‑500‑4433				