特色・診療内容

内視鏡治療・経鼻内視鏡

リンパ節転移がない早期消化管がんに対する内視鏡切除は、根治治療として広く普及してきています。
この治療法は、低侵襲性、機能温存、術後のQOLの観点から優れた治療法であることはいうまでもありません。

ただ、従来の内視鏡切除法(内視鏡的粘膜切除術;EMR)では、技術的な理由によってがんを分割して切除するために、再発が約20%前後出てしまいます。これを克服するため当院では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と呼ばれる特殊な治療を行っています。

又、近年高齢社会の急速な進行とともに高齢者に対して診療を行う機会が増加しています。
胆・膵領域の疾患においても同様で総胆管結石、胆管炎や膵臓癌・胆管癌は高齢になるにつれて罹患率が上昇することが知られています。特に、AOSC(急性閉塞性化膿性胆管炎)は生命を脅かす病態であり緊急のドレナージが必須です。

胆・膵疾患専用の内視鏡JF260V、TJF260V(Olympus社)を常備し、日々総胆管結石、胆管炎、膵癌・胆管癌による閉塞性黄疸に対してERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影検査)下の処置を施行しています。更に術後胃の上記疾患患者様に対してもSIF-H290Sというシングルバルーン式の内視鏡にてERCP施行しています。

当院では更に専門的手技としてEUS-FNA(endoscopic ultrasonography-guided fine needle aspiration;超音波内視鏡下穿刺吸引法)を施行しています。本邦では2010年に保険収載され、EUS-FNA関連手技が急速に普及しつつあります。造影剤を用いたEUSにて的確な診断を行い、膵腫瘤、胃粘膜下腫瘍、GISTの組織学的診断やInterventional EUSとして膵仮性嚢胞の経消化管的ドレナージ(内視鏡的瘻孔形成術)など積極的に施行しています。尚、徳州会湘南鎌倉総合病院、湘南藤沢病院とも密接な連携を取り診療を行います。

当施設は、現在日本消化器病学会関連施設、日本消化器内視鏡学会指導施設、日本胆道学会指導施設、日本肝臓学会関連施設、日本超音波医学会専門医研修施設、日本がん治療認定医機構認定研修施設であり、学会、論文活動も積極的に施行する方針です。

非侵襲的治療法

ラジオ波焼灼療法は、超音波で観察しながら、がん組織に直径1.5ミリほどの電極を挿入し、周波数の比較的低いラジオ波を流して100度前後の熱で焼き、がん細胞を壊死(えし)させる治療法。手術ができない、あるいは手術を希望しない患者には、手術に代わる治療法。治療後約16カ月の経過観察で、肝がんの再発率は約1.7%にとどまり、有効性の高い治療法です。

肝動脈化学塞栓療法は癌を栄養する肝動脈にカテーテルを挿入し、抗がん剤と固形塞栓物質を流し、癌の消退を目指す治療法です。1回の治療での3年再発率は33~38%ですが、ラジオ波焼灼療法と組み合わせると高い治療効果が得られます。

外科治療・腹腔鏡手術

腹腔鏡手術とは、従来の開腹手術に代わる革新的な手術方法で、お腹に10mm程度の穴をあけ、そこから器具を挿入して手術する方法です。胃癌は基本的に早期胃癌が対象で、内視鏡(胃カメラ)で切除できる早期癌は内視鏡切除を優先します。

進行癌に関しては様々な状況次第で行うこともあります。大腸癌は一部の直腸癌を除く殆どの早期・進行大腸癌が対象になります。対象外となるのは、他臓器浸潤例(他の臓器に癌がくい込んでいるもの)、腫瘍径が7-8cm以上などの場合です。

放射線治療

IMRT(強度変調放射線治療)は、複数のビームを組み合わせることで腫瘍の形に適した放射線治療を行う新しい照射方法です。
腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができるため、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能になります。(周辺臓器に全く放射線があたらないわけではありません)

小線源治療は、放射線を放出する同位元素を対象臓器内に刺入し、内部から臓器全体に放射線をあてる治療法です。治療成績は手術や外照射と同程度ですが、乳がんの外科手術後のIMRT照射に比べて、小線源の照射は必要な日数が少なく、術後の入院期間中に照射を終えることができます。当院放射線科の得意分野のひとつです。

外来化学療法

外来化学療法は専用の治療環境(外来化学療法センター)主に抗がん剤などの点滴治療を受けるものです。当院では、実に20床のベッドを有し、患者様の体調に応じて対応可能なイスや個人用テレビ付きリクライニング、ベッドなどのスタイルで治療を受けることができます。専任の認定看護師、がん治療薬剤師が常駐し、腫瘍センターが隣接しております。乳腺外科、呼吸器内科、消化器外科、泌尿器科など多くの科の患者さんが利用します。また、併設した情報センターに多くの書籍が揃っています。

緩和医療

病気の無い健康な場合「痛み」は生体を危険から守る重要な信号です。しかし、それが「がんが原因」で痛みを感じている場合、これを緩和することが重要になります。がんの痛みを軽減してあげることが患者さんのストレスを少なくし、ひいては生きる希望を持つことになります。これらの痛みに対して鎮痛剤で治療を開始し、時期に応じて麻薬や放射線療法、神経ブロックが行われます。
現在、専用の入院設備はありませんが、入院と在宅を活用しながら、疼痛緩和を行います。