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脊椎の専門家向け

はじめに

この『脊椎の専門家向け』では解剖学的用語などの専門用語も使った文を掲載していきます。やはり専門用語を用いたほうが正確な表現ができると思います。

そういうことですので、医療職の方でなければ見てはいけないというものではありません。治療方針や手術方法について、より詳しい内容を記載していこうと思います。

投稿者:脊椎センター長|2009/03/02|14:03|記事詳細

脊椎疾患の診断名に関して

患者さんが整形外科外来を受診してこられて、主訴を尋ねると"ヘルニアが出ちゃって"などという返事をもらうことはよく経験するところです。そのような場合、患者さんの言いたいことは"腰痛の症状が出た"ということである場合が多いと考えられます。

このような現象は発熱して喉が痛い症状で医者にかかったとき、患者さんは"風邪を引いたので来ました"と言ってしまうことと似ているようにも思います。しかし、腰痛を椎間板ヘルニアと言ってしまう現象はもう少し根が深いように感じます。

風邪の場合、発熱して咽頭痛があるのは自分の経験上風邪であることが多いので、医者にかかったときに自分で診断して風邪を引いたと言っていると考えられます。それに対して腰痛の場合、患者さんの経験上原因が椎間板ヘルニアであるとは言えないと思います。椎間板ヘルニアの場合、症状は腰痛もありますがやはり神経根症としての下肢への放散痛が主な症状であると思われます。

腰痛の症状の際に椎間板ヘルニアという診断をしているのは、元をたどれば患者さんの経験ではなく、医療提供側の診断、説明ではないでしょうか。腰痛で医療機関を受診すると、椎間板ヘルニアが原因であると説明をされるので、それが一般的に広まって腰痛は椎間板ヘルニアが原因であるということになってしまったのだと思います。

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投稿者:脊椎センター長|2009/03/02|14:03|記事詳細

脊椎センター入職希望医師へのご案内

湯澤が当院へ赴任して1年が経過しました。当院で手術を受けた患者さんに勧められて当院を受診する患者さんや、当院のサイトを見て受診する患者さんが今年の初夏くらいから急に増加してきました。そこで、当院で脊椎疾患の治療,特に脊椎手術の研修を受けたいという医師を募集します。 入職のご案内を下記のように作成いたしました.お問い合わせは下記へお願いいたします。医師以外のスタッフにつきましてもご相談を受けますのでご連絡ください。

湯澤 洋平
東京西徳州会病院脊椎センター
〒196-0003 東京都昭島市松原町3-1-1
TEL: 042-500-4433(代)
FAX: 042-500-6632

お問い合わせフォームはこちら


東京西徳洲会病院脊椎センター入職医師へのご案内

脊椎センター長 湯澤洋平


 当センターの運営理念は次の通りです;1.脊椎疾患における標準的な治療体系を取り入れる,2.脊椎疾患患者さんに対して標準的な治療を行なう,3.知識や技術のみを追求するのではなく,ヒューマニティーを尊重する,4.脊椎疾患において標準的な治療を施行できると同時に豊かな人間性を持った医療人を育成する.ここでいう標準的であるということは,世界標準を意味するものであり,新しい概念が世界的に認められた場合はそれを取り入れて施行していくという意味であります.単に医療を提供する機関ではなく,脊椎疾患患者さんに対する治療を通して当センターに所属する者が人間的に豊かになっていくことを目標にします.脊椎疾患患者さんに対して標準的治療を提供することができて,人間性豊かな医療人が増えていくために努力していきます.
 当脊椎センターの数値目標は,脊椎執刀医10人により年間1500ー2000件の脊椎手術を行うことです.脊椎外科医としては年間に150ー200件程度は執刀しないと手術技術は向上しないと考えています. 脊椎外科医一人に対して年間150ー200件の脊椎手術件数を維持しながら10年ほどかけて脊椎専門医が10人いるセンターにすることが目標です.医療を提供しながら当センターで行なっている医療を学会や論文で対外的に発信していくことも重要視しています.積極的に世界最先端の医療を取り入れていくに当たっては既存の医療とは異なった診療を行なうこともあるでしょう.そのような場合には治療経過や結果をオープンにしていく必要があると考えるからです.

脊椎外科医育成プログラム

対象:
整形外科の基礎的な知識と技術を身につけた医師
(整形外科後期研修3年間終了程度)

A.初期:1-2年
(整形外科,脊椎外科の基礎技術取得,日本整形外科学会専門医取得まで)

1.診察,診断

  1. 解剖学的,病理学的,診断学的知識(基本的な知識を習得する)

  2. 身体所見(脊髄症,神経根症,馬尾障害などの判断ができる)

  3. 画像所見(単純Xp,CT,MRIを的確にオーダーして読影できる)

  4. 患者への説明(患者さんが納得できるように説明できる)

2.病棟管理

  1. 指示,オーダー(患者の合併症に応じた指示ができる)

  2. 危機管理(術後合併症などの問題への対処ができる)

  3. スタッフ教育(スタッフへの教育ができる)

3.手術

  1. 腰椎椎弓形成術(開窓術)

  2. 頚椎椎弓形成術

  3. 内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術

4.学術活動

  1. 学会発表

  2. 論文作成

5.整形外科疾患の体験


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投稿者:脊椎センター長|2009/07/29|20:07|記事詳細

The 1st Tokushukai-Yokota Air Base Medical Liaison Conferenceを開催

2009年4月から年に2回の予定で横田基地内の病院の先生方とのカンファレンスをしています.その様子を報告します.4月10日は当院で施行しました.同年10月30日は横田基地内で施行しました.次回は今年5月に予定しています.

2009年4月10日,Tokushukai-Yokota Air Base Medical Liaison Conferenceと銘打った会議の第1回を開催しました.Liaisonとは連絡,架け橋といった意味で,この会議の名称は徳洲会病院と横田空軍基地病院との医療連絡会議を意味しています.横田基地には住人が1万人ほどいて病院もありますが設備としては中小病院程度です.東京西徳洲会病院は横田基地に隣接していることから横田基地の病院ではできないMRI検査などを施行していました.
2008年7月に湯澤が東京西徳洲会病院に赴任し,とある機会に横田基地と連絡を取っている当院のメディカルコーディネーターと話をしていてこんな話を聞きました.横田基地には整形外科の医師がいて診療をしているが,脊椎疾患については以前は輸送機で沖縄やハワイへ行っていた.最近では予算削減のため立川災害医療センターや亀田総合病院へ行っている.しかし,国内の病院を受診するときは通訳が必要で,通訳は医学のことをそれほど理解できるわけではないので,ちゃんとした説明も受けられない,とのことでした.そこで軽い気持ちで「まあ,つたない英語ですが,脊椎の患者さんくらいは診ることができますよ.」と言ったところ,「本当ですか? それはとても喜ばれると思います!」と言われ,7月下旬には横田基地のメディカルコーディネーターと面会して患者さんを受けることになり,その後私の外来に横田基地の患者さんが来るようになりました.8月19日には横田基地病院へ見学に行きました.横田基地内に入るのにはパスポートが必要であるといわれて少し驚きました.基地の病院では3人の整形外科の先生と会って院内を案内していただきました.3人とも30才代~40才ちょっと位の医者で,その病院に固定ではなく3年くらいでローテーションをしているとのことでした.私が脊椎疾患の患者さんを診療していることにとても感謝していただきました.
その後は私が外来に出るたびに横田基地から2,3人の患者さんが紹介され,日本語を話せないので英語で診療をしなければならず,よい英会話の練習になっています.手術も腰椎除圧術2人,MED2人,腰椎後方固定術2人,頚椎前方除圧固定術2人施行しました.先日は横田基地の軍人さんが交通事故で受傷して多発外傷疑いで3次救急病院へ搬送されてハングマン骨折と脛骨高原骨折と診断を受けたものの,言語的な問題があって当院へ転送されてきました.初診をした病院ではどういうわけかほとんど何の処置もされないまま5日間入院していて,当院でハローベストを装着すると患者さんは首の痛みがらくになったと言ってとても喜ばれました.頚椎椎間板ヘルニアで脊髄症をきたしていて前方除圧固定術予定の患者さんは空軍のパイロットであり,術後に飛行が可能であるかということをflight medicine specialistが判断するとのことでした.flight medicine specialistという職業の人がいることに驚きました.ジェット機を操縦するパイロットに対する評価の専門家がいてもおかしくはないのかも知れません.そのような患者さんを私が手術をしてよいものかという感じもしますが,術式は頚椎の骨性終板を残して椎間板とヘルニアだけを切除して,骨性終板と椎体に噛み込むスレッドケージで固定する方法を予定しています.この手術を相澤病院の時から数えると30例以上はしていると思いますが,術直後から頚椎カラーもせずに自由に動いていてもらって今のところ特に問題がないので,通常の生活には支障がないでしょうと横田基地病院の整形の先生には伝えました.ジェット機の発進時にどの程度のGがかかるかは知りませんし,そのようなGがかかったときに頚椎がどうなるかは想像ができません.flight medicine specialistが判断してくれるのだと思います.
以前相澤病院整形で働いていたこともあり,今は東京西徳洲会病院で私と一緒に働いている整形外科の北川寛之先生も横田基地病院からかなり患者さんを受けて診療していますし,外来や病棟のスタッフも協力的で,がんばって英語で対応してくれています.12月には横田基地病院のクリスマスパーティーに招待していただきました.恐らく一番いい席だろうと思われるテーブルに席を用意していただいて恐縮しました.日本の忘年会の出し物やゲームでは皆さん恥ずかしながらしている印象を受けますが,アメリカ人は出し物やゲームに対して本気で,女の人は着飾ったドレスでドタバタのゲームに興じていて驚きました.絵に書いたようなアメリカンなクリスマスパーティーで楽しい時間を過ごすことができました.
そのような経過から医療カンファレンスを開催しようと思いつきました.その目的を①横田基地を始めとする米軍医療機関と米軍基地に関連した患者の医療に携わる医療機関との友好を深める,②米軍基地に関連した患者に対する医療問題について話し合う,③日米の医療に関する相違点についても言及する,というものにしました.会議の名称をどうしたらよいか悩みましたが,元東大小児外科教授で当院総長の橋都浩平先生に相談してLiaisonというすてきな単語を提案していただいて会の名称が決まりました.また,第1回の特別講演には信州大学整形外科加藤博之教授においでいただきたいと思いましてお願いしたところ快諾をいただきました.
 2009年4月10日にその第1回が開催されましたが,会議の趣旨からしてofficial languageを英語として板垣徹也院長の開会の挨拶で会を始めました.一般演題の座長は北川寛之にお願いしました.一般演題1席目はLt Col Eric Nelson, MD, MPH Chief, Aeromedical Services(航空医療)が「Battlefield Trauma & the U.S. Aeromedical Evacuation System」という演題名で戦場で負傷した兵士に対する処置方法や航空機を用いた患者搬送について発表しました.負傷した兵士のファーストエイドをするのは他の兵士であるということで,考えてみれば当たり前ですが兵士は医療の教育も受けるのだなあと少し驚きでした.また,患者搬送システムと治療後のケア(特に切断肢の患者など)が整っていることに驚きました.2席目はAndrew Ebert, Capt, USAF, MC, Orthopedic Surgeon (整形外科)が「Expeditionary Medical Support (EMEDS)」という演題名で病院機能を持った施設を空輸して設置するシステムについて発表しました.対象人口3000-5000人で病院機能を持った25ベッドの施設を7日で設置できるということには驚きました.3席目は湯澤が「The Patients of USAF Yokota with Spine Disease」という演題名で横田空軍基地病院から東京西徳洲会病院脊椎センターへ紹介された患者について発表しました(写真1).特別講演は加藤教授に「Treatment for Capitellar Osteochondritis Dissecans (COCD)」という演題名で講演していただきました. 加藤先生の講演には質疑応答が何件もあり活発なディスカッションが繰り広げられました(写真2).会全体にわたってもたいへん活発なディスカッションが行なわれ大盛況でした.最後に橋都浩平東京西徳洲会病院総長の閉会の言葉によって会が閉じられました.
 アメリカ人の患者さんの診察をしてみて,興味深いことが何点かありました.この会の私の一般演題でも話題にさせていただきましたが,まずひとつめは,例えば慢性腰痛症でMRIでは椎間板変性がかなりあって腰椎椎間板症と診断してよい患者さんがいたとします.そのような患者さんに椎体間固定術をした場合,さまざまな報告によるとおおまかには3分の2(約66%)の患者さんは手術結果に満足するが,3分の1(約33%)の患者さんは手術結果に満足しないということのようです.そのことを説明すると,アメリカ人の患者のほとんどは「私はそのチャンスにかけてみたい!」と言います.それに対して日本人の患者さんは「やっぱり100%じゃないんですね.であれば手術を受けるのは考えさせていただきます.」(はっきり言わないが,真意は手術は受けたくないということだろう)という返事であります.全員がそのような返事であるというわけではないですが,そのような傾向が顕著にあり興味深いところです.人口が日本の約2倍であるアメリカで脊椎固定術が日本の約10倍行なわれているそうですが,このようなこともその現象の一因であるような気がします.
 また,アメリカ人はあまりにも痛みに弱くて驚きます.われわれ日本人の感覚からすると異常と思われるほどです.仙骨部硬膜外ブロックをして針の刺入をたいへんに痛がる日本人はそれほどいないと思います.痛覚としてはやや鈍感そうなところですし,それほど太い針でもありません.アメリカ人の場合は針先が触れると痛みを避けようとして動いてしまうため結局ブロックを出来なかった人もいたくらいです.そのため腰椎硬膜外ブロックなどは危なくてとてもできたものではありません.(例外はありますが)先日はメディカルコーディネーターからFAXがあり,椎間関節ブロックは可能か?その際にセデーションをしてもらいたいが可能か?という内容で驚きました.アメリカ人の痛覚の域値が実際に低いのか,あるいは日本人は痛がることが恥と教えられてきたという文化的な差異か不明であります.
 この会の開催後,日米の医師からも横田基地と徳洲会のスタッフからもこのような会が開催されてとてもよかったという声を多く聞きました.今後,年に2回程度の割合で開催していこうと考えています.また,私の脊椎疾患に対する診療について考えると,アメリカでアクティブに診療していた医師から次々と患者さんが紹介されるということは,アメリカでのスタンダード,ということは世界スタンダードとして遜色がない程度の治療はできているのかなという認識を持たせていただきました.今後は横田基地だけでなく,この近隣にも脊椎疾患を持ちながら言語の障害で困っている患者さんは多くいると思いますので,病院のサイトなどを通じてそのような患者さんにも当院を認知してもらえるようにしたいと思います.

図1.発表後,横田基地病院整形外科医師の質問に答える湯澤

写真1.gif


図2. 講演後,横田基地病院放射線科医師の質問に答える加藤教授

写真2.gif

投稿者:脊椎センター長|2010/02/08|14:02|記事詳細


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