

PETとは「Positron Emission Tomography」の略語で「ペット」と発音します。
Positronは「陽電子」、Emissionは「放射、または放射物」、Tomography は「断層撮影」を意味します。一般的には“ポジトロン断層撮影法”といいます。
PET/CTはPETによる細胞の機能画像とCTによる臓器の形態画像を同時に撮影できる装置です。
PET/CTを使用することで、PET画像とCT画像のずれのないフュージョン画像(融合画像)を作成することができ、より精度の高い診断が可能となります。
ポジトロンとは陽電子といって正(プラス)の電荷をもった電子のことです。
通常、「電子」は負(マイナス)の電荷をもっていますが、それとは反対に、ポジトロンは正の電荷をもっています。
正の電荷をもつポジトロンと負の電荷をもつ普通の電子は、互いに引き寄せあう性質があるため、ポジトロンはすぐに電子と結合します。この結合の瞬間に、ポジトロンも電子も消滅してしまします。
この時、2本の放射線(γ線)を正反対の方向へ放出します。この放射線を「PET装置」で撮影することによって、身体の中のポジトロンの様子を画像にするのです。

PET/CTはPETによる細胞の機能画像とCTによる臓器の形態画像を同時に撮影できる装置です。
PET/CTを使用することで、PET画像とCT画像のずれのないフュージョン画像(融合画像)を作成することができ、より精度の高い診断が可能となります。
PET装置は陽電子(e+)電子(e−)と結合して消滅する際に180度方向に出る1対の消滅放射線を同時計数回路を用いて検出します。このためSPECT(Single Photon Emission Tomography)より感度(500倍〜1000倍)・定量性に勝れ、空間分解能に優れた画像が得られます。
ポジトロンを放出する元素は、「ポジトロン核種」と呼ばれ、放射性同位元素※1の仲間です。これらは、半減期※2(寿命)が短いため、病院内のサイクロトロンという装置で造られます。ポジトロン核種には、小型のサイクロトロンで造った18F(フッ素-18)、15O(酸素-15)、13N(窒素-13)、11C(炭素-11)などのポジトロン核種が、PET検査に多く用いられています。
※1 放射性同位元素の「同位元素」とは、同じ位置にある元素という意味で、科学的に同じ性質をもっていますが、質量が異なるもののことをいいます。
※2 半減期とは、放射能の強さが半分に減少するまでの時間で、炭素-11ならば、20分で1/2、40分で1/4になってしまいます。
| ポジトロン核種 | 半減期 | 製造方法 |
|---|---|---|
| 11C 炭素-11 | 20分 | 小形サイクロトロン |
| 13N 窒素-13 | 10分 | 小形サイクロトロン |
| 15O 酸素-15 | 2分 | 小形サイクロトロン |
| 18F フッ素-18 | 110分 | 小形サイクロトロン |
| 68Ga ガリウム-68 | 68分 | ジェネレーター |
| 82Rb ルビジウム-82 | 75秒 | ジェネレーター |

Pがん細胞は正常の細胞よりも分裂が盛んに行われるため、グルコース(糖分)がたくさん必要とされます。
そのため18F-FDGというくすりを静脈から注射しますと、がんの病巣にたくさん集まります。
その様子を、PET装置で身体の外から撮影しますと、
PET検査で正確な診断ができると治療法や治療範囲を決めるのに大変役立ちます。
特に予想外の病巣を見つけることで、治療範囲を正しく決められます。がん細胞は、正常細胞にくらべ、とても多くのブドウ糖を細胞内に取り込んで消費します。この性質を利用して、ブドウ糖が他の臓器より多く集まっている場所をつきとめて、「がん」を発見するのが「PET検査」(ポジトロン断層撮影)のしくみです。

| 1.前日 | 糖の代謝を診断するため、検査5時間前の食事は控えてください。 |
|---|---|
| 2.受付 | 受付時間の30分前に、ご来院ください。 |
| 3.採血 | 血糖値を測定します。 |
| 4.注射 | 血糖値から、適量のおくすり(FDG薬剤)を静脈より注射します。 |
| 5.安静 | おくすりが、全身に広がるのを1時間ほど、待ちます。 |
| 6.撮像 | 検査台に、横になります。検査時間は、30分ほどです。 |
| 7.回復 | 体内に残ったFDGを減衰させます。30分ほどです。 |
約3時間ほどかかります。
※お申し込みは予約制です。

脳は血流により運ばれたブドウ糖や酸素を大量に消費しています。また、脳には神経細胞の間で情報を交換するための神経伝達物質や神経受容体といわれるものがあります。
脳の血流やエネルギー代謝は、神経細胞の活動が盛んな部位で高く、活動が衰えた部位では低くなります。PET検査では、ブドウ糖や酸素の代謝をみることによって、脳の局所の機能がわかります。また、神経受容体の状態などもみることができます。
心臓は、24時間休まずに全身に血液を送る大切なポンプの役目を果たしています。そのため心臓の筋肉には多くの血液が流れ、たくさんのエネルギーが消費されています。PET検査によって、心臓の筋肉の血流が鮮明な画像として得られます。これにより正確に心臓の異常を見つけることができます。また、心臓の筋肉に必要なエネルギーの利用の程度をみることもできます。
人間ドックなどでがんを見つけるためのPET検査では放射線を出すブドウ糖(グルコース)を注射します。
このブドウ糖を「フルオロ・デオキシ・グルコース」とよび、頭文字を取ってFDGと呼んでいます。
放射性同位元素(放射線を出す物質)は、「フッ素」F-18を使っています。したがって現在のPET検査はよくFDG-PET検査と呼ばれています。
大変役立ちます。しかし、すべてのがんがPET検査のみで早期発見できるわけではありません。PET検査で見つかるがんもありますが、これまでの超音波検査、X線CT、MRIや内視鏡検査、血液腫瘍マーカーその他の検査法とPET検査を組み合わせることが大切です。
PET検査はがんの転移を見つけるのに大変役立ちます。がんは、転移のあるなしによって、治療法が変わりますので、非常に有用です。前立腺がんでは、原発巣が膀胱と重なり、よく分からないことがありますが、膀胱と離れた骨の転移は、膀胱と重ならないのでPET検査でよくわかります。
悪性の腫瘍では18F-FDGの取り込みが高く、良性の腫瘍では18F-FDGの取り込みが低いことが多いようです。腫瘍への18F-FDGの取り込みの程度で、腫瘍の性質を判断するのですが、全ての腫瘍で悪性か良性かがきちんと鑑別されるわけではありません。
平成14年4月現在では、健康保険を適用できるPET検査(ポジトロン断層撮影)は、「15O標識ガス剤を用いた場合」と「18FDGを用いた場合」の2種類です。なお、18FDGを用いた場合には、てんかん、虚血性心疾患、悪性腫瘍(脳腫瘍、頭頚部がん、肺がん、乳がん、膵がん、転移性肝がん、大腸がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫及び原発不明がんに限る。)の診断を目的として、一定の要件を満たす場合に保険適用できることになっています。
糖の代謝を正しく判断するためには、検査当日の朝食から絶食をしていただく必要があります。水やお茶は飲んでも良いのですが、甘いものは避けてください。お菓子も、検査が終わるまでがまんしていただきます。くすりを注射してから撮影のあいだは、できるだけ安静にしてください。筋肉を使うとくすりが筋肉に集まってしまいますので、特にがんの診断の時には、診断が難しくなる場合もあります。また、検査の直前には、膀胱内のあるくすりの代謝物を排出するために、排尿をしていただきます。
がん検診の場合は血糖値影響しますので、来院時刻の5時間前から食事及び糖分の含まれる飲み物は控えていただきます(お水・白湯は問題ありません)。前日までは通常通りお食事をしていただいて結構です。
薬剤を静脈注射する際の痛みはありますが、あとは検査着を着用して機器の上に横になるだけですので、検査自体から痛みや不快感を感じることはありません。ベッドで30分程寝ているだけで検査は終了します。
標準的な検査では全体で3時間くらいです。検査の内容や個人差がありますので、あくまで目安です。このうちPET検査はベッド上に30分程度寝ていただきます。
さらに精密検査が必要かどうか、または治療の必要性があるかどうか検討されます。その後、適切な専門医療機関を決めることになります。

もしも”がん”がみつかったとしても、悲しむべきことではありません。
「さらに精密検査が必要かどうか」治療の必要があるかどうかを含めて検討することが大切です。
その後、適切な専門医療機関を決めることになります。
この時、既に主治医がいる方はよく相談することが大切ですし、主治医の意見に納得できないときは、セカンド・オピニオンとして他病院の医師の意見を聞くことも大切です。
また、主治医のいない方は、カウンセリングを受けることをお勧めします。
当院では、PET/CT検査後の「カウンセリング受付」や「がんのセカンド・オピニオン外来」を行っております。
いずれにしてもできるだけ早く納得し治療に対する自己決定をしていただくことが大切です。
より小さく、より早くがんを発見して、できるだけ臓器機能を温存するやさしい治療を目指しましょう。
がん総合検診センター センター長 大川 智彦