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人工透析について

前希釈による濾過透析(PreHDF)

HDFでは補液として入れたものをファイバーから濾過して出す。補液分全部濾過する。

後希釈による濾過透析(PostHDF)

濾過後補液を補う。この場合濾液はすべて血漿由来のものなので、同じ置換量であれば前希釈法より効率よく除去できる。

後置換方式on-line HDFでは、一回治療あたりの液置換量が20L(リットル)程度であるのに対し、前置換方式on-line HDFでは70L(リットル)以上の液置換が行なわれる。

On-line HDFでは、無菌化した透析液を血液回路に注入する際、さらにエンドトキシン・カット・フィルタ-(ファイナルフィルタ-)で最後の濾過をおこなう。

HDFにはどういった利点があるのでしょうか?

  1. 普通の透析で取りきれない老廃物の除去
  2. 血圧の安定
  3. 普段の血圧の安定
  4. 貧血の改善
  5. 食欲の改善

(on-line)HDFにより改善される(可能性のある)合併症

  1. 掻痒症:(原因)分子量10000~20000の物質?
  2. 貧血:造血阻害因子の除去(アルブミンに近い領域?)
  3. 関節痛:(原因)分子量30000~40000の物質?
  4. いらいら感:(原因)大分子量uremic toxin
  5. 栄養障害:(原因)アシドーシスや大分子量uremic toxin
  6. 透析アミロイドーシス:(原因)β2-m(AGEβ2-m)等
  7. 色素沈着:原因は明らかではない

いずれのHDFも、とくに関節痛、皮膚掻痒感、不眠、イライラ感、restlesslegs症候群などに対して有効であったと報告されている。

しかし効果の明確な機序は明らかにされていない治療開始後の臨床効果の出現の時期、治療中断後の症候の再発の時期は様々である。

HDFのほうがHDより透析中血圧が下がりにくいのか?

「HDF」の方が治療中(除水中)に血管の外に逃げている(溜まっている)水分が血管の中に戻ってきやすいからだと考えられています。ご承知の通り、透析患者は基本的に無尿ですから透析間に増えた水分は、いやおうなしにその一部が血管の中、残りは血管の外に溜まります。

透析での除水は、血管の中の水分だけを除去するわけですから、一時的に血管の中が脱水になり、血管の外は余分な水分があ るという状態になります。そうなってくると、血管の外に逃げていた(溜まっていた)水分が脱水となった血管に戻ってきます。これを、専門用語で「プラズ マ・リフィリング」と呼びます。

除水の進行に伴い、この「プラズマ・リフィリング」が速やかに起こる患者と「プラズマ・リフィリング」に時間のかかる患 者がいます。(私みたいに動脈硬化がある場合など)「プラズマ・リフィリング」が早い患者は、血圧が下がりにくいのですが、「プラズマ・リフィリング」が 遅い患者は、どうしても血管内脱水がなかなか解消されないために血圧が下がってきてしまうのです。「HDF」という透析方法は、この「プラズマ・リフィリ ング」を早くすると言われています。

また、「HDF」は常温の補液を使うので、結果として低温透析となるので、透析中の血圧低下が防げるという説もあります。

オンラインHDFの適応病態

【短期的臨床報告より】

  1. 透析アミロイドーシス関連の骨・関節症状
  2. 皮膚掻痒症
  3. 皮膚乾燥症
  4. イライラ感
  5. 不眠
  6. 食欲不振
  7. レストレスレッグ症候群
  8. 末梢神経障害
  9. エリスロポエチン不応性腎性貧血
  10. 尿毒症性心膜炎
  11. 多臓器不全

【期待される長期臨床効果】

  1. 透析アミロイドーシス進行の抑制、発症の遅延
  2. 栄養指標の改善
  3. 免疫能改善に伴う感染症罹患率の低下
  4. 動脈硬化進行の抑制
  5. 尿毒症性心筋症の抑制

生命予後に関しての大規模なデータはまだ出ていないが、小規模データではオンラインHDFの方がHDに比べて生命予後が改善されることが示されている。

 

オンラインHDFの短所

  • On-lineシステムでは置換液に用いる透析液の清浄化が必須。
  • On-lineシステムの場合10~20%増の透析液浄化用の設備投資が必要。
    またOn-line HDFでは補液ポンプが、push-pullHDFでは専用の装置が必要。
  • On-lineシステムでは水質管理に人手と経費が余計にかかる。
    (1回治療に換算すると400~1300円程度→回収できないコスト増)ボトル(バッグ)型では医療費が高く、医療廃棄物も増大。

オンラインHDFへの期待

オフラインHDFでは置換液量がともすれば少なめに設定されるために除去効率が十分に高められない。

また、置換液量を多くするとコスト増により治療費の高騰を招くので限られた症例を適応とせざるを得ない。
置換液量を多くしないと治療効果は限られたものとなる。

オンラインHDFシステムではこれらの問題が一挙に解決。
透析液が汚れているとエンドトキシンという物質が慢性炎症状態を体内に作り出しそれが原因で透析アミロイドーシスや動脈硬化を引き起こし、ひいては、心筋梗塞や脳梗塞になってしまうと言われている。

以上のことより 血液透析患者さんは透析液が清浄化された施設でオンラインHDFをすることにより、上述した透析の長期合併症になるのを防止できる可能性が高くなり、QOL(生活の質)の向上ももたらされると思われる。

透析液の清浄化について

近年、透析液に含まれるエンドトキシンが問題とされています。透析液にエンドトキシンが含まれると、透析後発熱がみられることもあります。
またそれほど高濃度でなくても透析液にエンドトキシンが含まれると、透析中に透析液から血液中にエンドトキシンが侵入します。体内に侵入したエンドトキシンは炎症反応をひきおこします。

長期透析患者様で合併する透析アミロイドーシスの原因のひとつとして血液中にβ2ミクログロブリンという蛋白質が蓄積されることがしられています。透析液中にエンドトキシンが含まれると、炎症反応をひきおこし、β2ミクログロブリンが高値となります。 透析液中のエンドトキシンを完全に除去することのみで、血液中のβ2ミクログロブリンが低下したり、また貧血も改善するといわてています。
特に、当院でも行っているオンラインHDFの場合、透析液そのものを血液中に輸液しますので、透析液はできる限り清浄化する必要があります。 水道水に含まれるエンドトキシンはRO装置によってほぼ除去されます。
しかし、RO装置の前処理段階である軟水のイオン交換樹脂や活性炭装置がバクテリアの温床となると、RO装置への負担増となり、エンドトキシン除去が完全に行えなくなる危険性があります。
またRO装置で完全なエンドトキシン除去が行えても、RO装置から透析用コンソールまでの回路をクリーンな状態に保てず、バクテリアが繁殖すると、透析液はエンドトキシンに汚染されてしまいます。

透析液の水質基準
ISO基準(2004-11)   
エンドトキシン  生菌数
通常透析液  250IU/L  100CFU/ml
Ultrapure  30IU/L  0.1CFU/ml
On-line HDF  30IU/L  10-6 CFU/ml

当院透析室の水質管理に関しては2005年HDF研究会の定める基準(下表)を基本とし、バリデ-ションを常に考え管理するものとする。

2005年HDF研究会コンセンサスカンファレンス案
2005年HDF研究会コンセンサスカンファレンス案
ET濃度  生菌数
透析液  50EU/L以下  100CFU/L以下
超純粋透析液  1EU/L以下  0.1CFU/L以下
注入用透析液  検出限度以下  測定不可(10-6CFU/L)

管理方法
汚染の指標としてET濃度と生菌数を測定する。

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